「蒼き狼たちの伝説」に関する一妄想 2004

「蒼き狼たちの伝説」に関する一妄想 葡萄瓜XQO

 『蒼き狼たちの伝説』…ショタオンリーイベントに配布する文書の題材として取り上げるにはこれ程不似合いな作品も無いかと思われます。96年に発表されたゲイセクシュアル向けSFロボットアニメーション・男性同士の性行為をはっきりと描いた本邦初のアニメーション作品・『ゲイ向けと言うよりはハードやおい』等々実際に鑑賞していない人まで情報の断片のみで断ずる語るというこの作品にショタとの繋がりが本当にあるのか訝しむ方の方が多いと愚考します。
 然しながらこの作品の主人公が同性と性交渉を進んで持つ様に至った発露は青年としての彼に唐突に訪れたのではなく、主人公が少年時代に抱いたある感情が基盤となっていた模様です。その点に於いては広義のショタ…少年物語と捉える事も出来ましょう。その辺を触り程度に少し綴らせて戴きます。

 作品中で主人公・ジョナサン=タイベリアスは少年時代、筋骨逞しい男達の身体を見、彼等と同じ肉体を手に入れた自分を夢想して性的興奮を覚え、自慰に至った事をナルシズム故の行為だったと思い込んで成長した後、(恐らく生涯只一人の)パートナー・レナード=シュテインヴェルグの半裸形を垣間見た事がきっかけで男を愛する事に覚醒する、様に描かれています。
 此処で頭に入れて置きたいのはジョナサンが理想的な肉体を手に入れた自分を夢想した少年時代にせよ図らずも男性の肉体に興味を覚える自分を自覚した現在にせよ愛する側で無く愛される側として性的感情を抱いている様に見受けられる事です。
 いずれの時も筋骨逞しい肉体への憧れがきっかけとなって覚醒している様に思えるのですね。そしてその憧れとは未知の父性への(母によって刷り込まれた)憧れと源を同じくするもので有る様に思えます。一種のファザーコンプレックス、とでも言いましょうか。
 愚考しますにジョナサンがレナードと性交渉をもとうと決意した背景には、レナードと同化したい・一人前の男に同化したいと言う感情が有ったのではありますまいか。性交渉を持つ事でレナードの「妻」になるのではなくレナードと対等の「男」になろうという意思が有った様に思えます。それは多分に一種の成人儀式とも言うべき色彩を帯びていたのではないかと思われます。成熟した男の体液を何らかの形で少年の体内に注ぎ、新たな「男」を送り出そうと目論む南太平洋諸島の一部の成人儀式の様に、レナードの細胞を体内に受けてその力を自らの肉体に充たそうとの思いも有ったのではありますまいか。
 だからこそジョナサンは受身である必然性があったのだと思われます。言い換えればこの物語とは一人の青年の成長物語でもあるとも捉えられるのです。
 その点を踏まえてみると、又中々に味わい深い物語ではないかと思われます。この雑文が作品鑑賞のお供若しくはきっかけになれば筆者として心から喜ばしく思います。

参考データ
『銀河帝国の滅亡外伝 蒼き狼たちの伝説X VOL.1 7番目の男』フェニックス・エンタティメント製作。1996年度作品。
『manga純一』(光彩書房・刊行) 96年6月号~12月号掲載コミカライズ作品 相沢たつき・画
『ブレス』 97年1月号(ヒカリコーポレーション・刊行)掲載コミカライズ作品  湯島ショーヘイ・画

HN:ぶどううり・くすこ
発表年:2004年
概要:OAV作品「蒼き狼たちの伝説」に関する私見
備考:往時無償頒布同人誌として公表。
連絡先:
Twitter:http://twitter.com/xqo_b
Site:ショタやおい雑記
URL:http://xqosy.seesaa.net/

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ぶどううり・くすこ について

短俳川狂都都逸朗詠時は『笑能子』の号を用いる。 普段は「ぶどううり・くすこ」として活動。 名義は「葡萄瓜XQO」表記も有
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